アディダスの「メタバース参入とNFTコレクション」について。

様々なブランドが、従来型の特権性を失いつつある現在、注目度が高まる2つのワード、それが「メタバースとNFT」。

様々なブランドがNFTにフォーカスし始めており、ナイキやアディダスも動き始めています。

そこで、今回はアディダスが発表したNFTコレクションInto The Metaverse」についてと、そもそもNFTって何?をざっくり解説していきます。

※目次もご活用くださいませ。

Music ∞♡ / Jazz / Punk / Rock / Funk / Electronic Music 1984年生まれ。東京在住。

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1.Into The Metaverseについて

アディダスは2021年12月18日に、NFTコレクション「Into The Metaverse」を発売しました。

メタバースとは、インターネット上の仮想3次元空間。ゲームでイメージするとわかりやすいかもですが、たとえば、マインクラフト、フォートナイト、あつまれどうぶつの森なども、メタバースに該当します。

なお、「NFTとは?NFTコレクションとは?」については、記事の中盤で解説しています。

では、アディダスが発表したNFTコレクションInto The Metaverse」について、ざっとチェックしていきましょう。

アディダスが発表したNFTコレクションInto The Metaverse」とは、3つのNFTブランド(NFTコミュニティー)とアディダスがコラボレーションしたNFTプロジェクトのこと。

この3つのNFTブランドとは、「Bored Ape Yacht Club」「PUNKS Comic」「gmoney」で、この3者はNFT界隈で現在最も注目されています。

※下記は、その「Into The Metaverse」のイメージヴィジュアル。フォートナイト的な着地演出にメタバース参入への意思を垣間見ます。

Bored Ape Yacht Club、PUNKS Comic、gmoneyが、 adidas Originalsをメタバースの世界へと導く。

出典:adidas

上記にもあるように、アディダスは今回のコラボレーションを「NFT参入への鍵」としているようで、目先のビジネスというよりは、新規事業への中長期的なキッカケとなるプロジェクトとしていると思われます。

とはいえ!

とはいえですが、このInto The Metaverse」でアディダスは、約26億円を売り上げたそう。凄まじいスピード感と規模感。

下記にもあるように、世界中の企業がメタバース戦略に注力しており、アディダスはライバル企業であるナイキに先駆けて「NFT参入への鍵」を手にしました。

スポーツアパレルのナイキがメタバース戦略を準備している傍らで、いち早くNFTコレクションをリリースしたAdidas Originalsが、最初のNFTコレクション“Into The Metaverse”を12月17日に発売、一挙に2300万ドル(約26億円)を売り上げたと発表しました。

出典:エンガジェット

※なお、Into The Metaverse」のアイテムは即完だったそうです。

1.で、アディダスはどんなNFTを販売したの?

アディダスは、このNFTプロジェクト「Into The Metaverse」で、「トラックスーツ」「フーディー」「ビーニー」など、3万点におよぶNFTアイテムを販売したとのこと。

※下記がInto The Metaverse」の「トラックスーツ」。

上記のとおり、このトラックスーツには、今回のコラボレーターである3者のロゴがデザインされており、象徴的な3本線がアディダスらしい一品。

なお、このトラックスーツを着用しているキャラクターは、「Indigo Herz(ape #8774)」と名付けられた「Bored Ape Yacht Club」がデザインしたアディダスのアバターと思われます。「Indigo Herz」の特徴は、「心の目で世界を見る反骨精神を持つ楽観主義者。」なのだそう。

※下記では「PUNKS Comic」が手掛けるキャラクター「COURTNEY(PUNK #2146)」のアバターが、アディダスを象徴するクラシックな「月桂樹モチーフ=トレフォイル」のロゴTを着用している。

下記のように、「トラックスーツ」「フーディー」「Tシャツ」「ビーニー」などを、各キャラクターがそれぞれのスタイリングで楽しんでいるようです。動画の右下あたりには無限を意味するインフィニティマークと通貨の単位「ETH=イーサリアム」が。

※下記はInto The Metaverse」の「フーディー」と「ビーニー」。

なお、上記の各アイテムの販売価格は、0.2ETH(ETH=イーサリアム)。

イーサリアムとは暗号通貨の通貨単位で、Into The Metaverse」販売時の0.2ETHは約8万8千円。

え、高っ!

って僕は思ってしまったのですが、NFTの世界だとそうでもないようです。おそらく価値が上がる前提なのだと思われます)

そして、これらは「デジタルの世界=メタバース」で利用できるアイテムで、Into The Metaverse」のアイテムを購入すると「NFTアイテム=メタバース用アイテム&フィジカルアイテム=現物」の両方が手に入ります。

「デジタルの世界=メタバース」っていうのが、ややこしいですよね。ざっくり言うと「ゲーム内」みたいな感じです。なので「NFTアイテム」というのは、マインクラフト、フォートナイト、あつまれどうぶつの森などの「課金アイテム」みたいな感じになります。

みたいな感じ」と濁すのには理由があります。結構大事なポイント。

それは「ゲーム内課金で手に入れたアイテム」は「二次販売」ができませんが、NFTの場合「二次販売」が可能です。

なので、「Into The Metaverse」のアイテムも、「二次販売」が可能というわけです。

※たとえば、従来は「ゲーム内で購入したアイテム」って購入できても売ることはできませんでしたよね。でも、NFTのアイテムは、「二次販売=売ること」ができるんです。

ではつぎに、そもそもNFTとはについて、ざっくり見ていきましょう。

2.「NFTとは?NFTコレクションとは?」

NFTとは、ざっくり言うと「一点物である証明」を持った特定のデジタルデータのことです。

NFTは、Non Fungible Tokenを意味しており、「代替できない価値=固有の価値=一点物」を意味します。

従来、データというのは複製=コピーが容易にできてしまうものでした。

しかし、技術の進歩とともに「データにも所有権を」という考え方の現実化が進み、NFTが実現しました。

NFTはブロックチェーンによって取引が記録されるため、所有権がどのようなルートで売買されたものかを証明できるなど、デジタル作品を安心安全にやり取りする仕組みとして注目されているのだ。

出典:コインテレグラフ

NFTコレクション、NFTアートとは、「代替できない価値=固有の価値=一点物」のデジタルデータコレクションやデジタルデータアートのことで、NFT専用のマーケットプレイスを通して売買することができます。

そして、その売買は、暗号資産(=以前まで「仮想通貨」と呼ばれていた)で行われます。

NFTアートとはデジタル作品に、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)と呼ばれるそのデータがオリジナルのものであること(真正性)を証明できるデジタルデータを紐付けたモノのことです。

出典:NFT NOW

では、アディダスがコラボした3つのNFTブランド「Bored Ape Yacht Club」「PUNKS Comic」「gmoney」と同様、NFTの世界で最も有名なNFTブランドの1つである、CryptoPunksの作品を例にとってちょっと見てみましょう。

3.NFT作品の先駆者CryptoPunks

CryptoPunksは、アメリカの企業「Larva Labs」が運営しているNFTブランドで、NFTアートの先駆者。

※下記がCryptoPunksで売買されている作品の一例。

※上記の投稿は「約4億5千万円の作品が約6億円になった。6週間で約1億5千万円の利益が出た」という内容。こういうスピード感、規模感がNFTアートの世界。

なので、NFTアートは投資対象として注目されています。

※下記のようにCryptoPunksの作品の多くには、パンクスを象徴するモヒカンヘアが取り入れられています。Crypto(クリプト=暗号→Crypto Currency=暗号通貨)と、反骨の象徴=パンクスを融合した表現というのも新時代の幕開けを象徴しているなと、思ってみたり。

「買ったアートの価値が上がる=資産価値が増える」といったように、NFTアートはデータではありますが、「代替できない価値=固有の価値=一点物」で、なおかつ、「売買できるデジタル作品」なので、投資対象として近年注目されているのです。

これらのNFTアートは、NFTマーケットプレイスというNFT専用のマーケットプレイスで取引されます。

なお、NFTマーケットプレイスの最大手「Open Sea」は、「現代芸術家の村上隆氏が作品を出品したNFTマーケットプレイス」です。

※下記のように、村上隆氏もメタバースへの関心を表明しています。

下記でも言及されているように、NFTアートは想像を絶する価格で取引されておりますが、徐々にその裾野は広がり、参加ハードルが徐々に下がることで、新たな文化として浸透していくのではないかと言われています。

価格としては庶民には手の届かない値段になってしまっているが、比較的若い世代、新しい富裕層を中心に新しい文化が作られつつあるのは確かなようだ。

出典:SAKISIRU

ちなみに、CryptoPunksの最高値作品は8億2千万円だそうです。

8億2000万という最高額のNFTアート作品はタバコを加えた宇宙人の絵。

出典:SAKISIRU

ちなみに下記は、前澤友作氏が宇宙で撮影し世界初の宇宙で発行されたNFT作品「Rendezvous」。

ではつぎに、アディダスが発表したNFTコレクションInto The Metaverse」のコラボレーター3者について、見ていきましょう。

2.コラボレーター3者について

というわけで、ここからはアディダスが発表したNFTコレクションInto The Metaverse」のコラボレーター3者について、見ていきます。

まずは、「Bored Ape Yacht Club」から。

1.Bored Ape Yacht Club

まず1つ目のコラボレーター「Bored Ape Yacht Club(ボアードエイプヨットクラブ)」は、アメリカの企業「Yuga Labs」が運営しているデジタルアートのNFTブランドで、「Bored Ape Yacht Club」が展開するデジタルアートは、NBAのスター選手、ステファン・カーリー、音楽業界ではポスト・マローンやエミネムなどが所有していることでも知られており、世界的に注目されている「今もっともアツい」NFTブランド。

「猿モチーフ」が大ブレイクしています。「Bored Ape Yacht Club」は、「NFTといえばコレ」といっても過言ではないほど、NFT界隈で認知されてい人気NFTブランド。

※「Bored Ape Yacht Club」は下記のような、1つの「猿モチーフ」を基本ベースに様々なアレンジを加えた作風が特徴となっています。

下記のとおり、上記のデジタルアートは、独自アルゴリズムがランダム生成しています。

BAYCの特徴は、漫画のような類人猿をベースに、デジタル着せ替え人形のように、体、頭、帽子、服を独自のアルゴリズムプログラムによってランダムに組み合わせて、ユニークな画像を生成している。

出典:コインテレグラフジャパン

ランダムゆえ「はちゃめちゃなデザイン」がユニークで関心を集めていると同時に、一方で「希少性のあるデザイン」がいくつかプログラムされており、偶発的に「希少性のあるデザイン」が生成されるので、「希少性のあるデザイン」を含む「Bored Ape Yacht Club」のNFT作品は「レアNFTアート」としてかなりの高値で取引されるようです。

まあ、いずれも基本的に高騰して高値なんですけども。

「希少性のあるデザイン」とは、たとえば下記のようなレーザーモチーフや、レインボーモチーフといった要素。

2.PUNKS Comic

つぎに2つ目のコラボレーター「PUNKS Comic」は、アメリカの企業「PixelVault」が製作しているNFTコミックのこと。

ちなみに「PUNKS Comic」第1巻、「Issue #1」の発行部数は1万部。

冒頭で紹介したキャラクターの「COURTNEY(PUNK #2146)」は、「PUNKS Comic」のキャラクターです。下記ですね。

そして、「PUNKS Comic」の第2巻「Issue #2」は、今回紹介しているアディダスのInto The Metaverse」プロジェクトと密に連動しているようですね。

(下記参照)

3.gmoney

そして3つ目のコラボレーター「gmoney」は、NFT界隈では非常に有名な蒐集家、投資家、インフルエンサーとして知られています。

NFTカルチャーシーンで名高いインフルエンサーであり、講師・コミュニティリーダーとして活動しているgmoneyによる、彼自身にとって初のメタバースマスタークラスを視聴して新たな世界を学んでみよう。

出典:adidas

「gmoney」は、かなり謎めいているのですが、CryptoPunksの下記のNFTがアイコン(オレンジビーニーが目印)です。下記の方ですね。

下記も「gmoney」。素顔非公開のようですが、左手首のパテック・フィリップ「ノーチラス」ゴールドがお気に入りのようで、よく身に着けているようですね。

※下記もゴールド「ノーチラス」してますね。ちなみに、左側の人物は現代彫刻家のダニエル・アーシャム。中央の作品は、ダニエル・アーシャムの彫刻作品で、エスパー系ポケモンの「ケーシィ」がモチーフ。

以上が、アディダスが発表したNFTコレクションInto The Metaverse」のコラボレーター3者になります。

おそらく今後はさらに様々なクリエイターとのコラボレーションが生まれるのではないかなと思います。

3.所有できる新たな価値

以上のように、アディダスはInto The Metaverse」プロジェクトで、「新時代のトップランナー」3者とコラボし、「メタバースの世界=新たな活動フィールド」への鍵を手にしました。

この先、ファッションブランドや、アーティストが、様々なNFT作品を展開していくと思います。

いやあそれにしても、参入ハードルがちょっと高すぎませんか。でも、NFTは様々な形で、もっと身近になる日は案外そう遠くないかも?

個人的に興味深いと思ったのは、NFTの技術。

NFTの技術が進歩すると、世の中からコピー品が減っていくのでは?と思いました。固有を証明する技術ですからね。NFTの技術が進歩すると、大量にコピーすることが無意味になっていくと思うんです。そもそも、「固有であるがゆえの希少性」があるからこそ「欲しい!」ってなるのが本質だと思うんです。(これって、レコードコレクターや、スニーカーコレクターの心理だと思うんですよね。)

なので、「デジタル証明と現物を抱き合わせる」ことで、今後アディダスやナイキは、ブランド価値を守り易くなるのではないかなと思います。

たとえば、「デジタル証明がないスニーカー=コピー品」が明確になるので、転売品などを買う方は、たとえ商品知識が少なくても、自分で正規品を見分けて購入できるようになる。みたいな感じ。

それと、これまでの、大量生産大量消費を伴う物質的な所有ではなく、データの所有が主流になれば「環境負荷が軽減しそう」って思います。

この辺の関連性は、今後ますます切っても切れない関係になっていきそうですね〜。

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ゲーム、スポーツ、アートなどのビジネス面から、ブロックチェーン技術、法律面まで。最前線にいる約20人が、その可能性・未来を解説する。

今日は以上です。

skでした。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

記事が参考になりましたら幸いです。

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