世界中のフェスで引っ張りだこの人気バンド、テーム・インパラについて知りたいな。まだ作品数もそこまで多くなさそうだから全部聴いてみたい。
今回は、テーム・インパラの作品を特集していきます。
テーム・インパラのおすすめアルバム、おすすめ曲を発表順にチェックしていきましょう。
ちなみに、僕のイチオシは3rdアルバムの「CURRNETS」。テーム・インパラのメランコリックでサイケデリックなメロディセンスに溢れた作品です。
では、順に各作品をチェックしていきましょう!
テーム・インパラのプロフィール
テーム・インパラ(Tame Impala)ことケヴィン・パーカーは、1986年1月20日、オーストラリアのシドニーに生まれる。
テーム・インパラは、ケヴィン・パーカーのサイケデリック色強い60s感をまとった進行形のオルタナティブミュージック・プロジェクト。2010年にアルバムデビューをしている。ケヴィン・パーカーの出身はシドニーだけど、テーム・インパラのスタートは西オーストラリアのパース。
コーチュラやボナルーでのヘッドライナーとして歴史を刻むテーム・インパラ。延期となったフジロック・フェスティバル2020の初日グリーン・ステージのヘッドライナーとしてもスケジュールされている。現在までにフルアルバムを4作品リリースしている。グラミーノミネート作品もあり、ダフト・パンク、トラヴィス・スコット、ケンドリック・ラマー、カニエ・ウェストなどとコラボレーションしている。
今回は延期になったフジロック2020が待ち遠しい思いと共に、テーム・インパラの作品を紹介していこう。
1.1stアルバム:INNERSPEAKER
タイトル | INNERSPEAKER |
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リリース | 2010年5月21日 |
レーベル | Modular Recordings |
ジョージ・ハリスン的サイケデリア。ポール・マッカートニー的な真摯なメロディとハーモニー。リンゴ的な前のめりドラム。ジョン・レノンを彷彿とさせるケヴィンの声。基本的には全曲の製作における、作曲、作詞、全楽器全てをケヴィン・パーカーが一人で演奏してる。
60sロックの持っているメランコリックでポジティヴなエネルギー。
サウンドメイクに関しても、現代的に再解釈されているというより、まるで当時のレコードを聴いてるかのようなアナログサウンド。ファジーなギターサウンドや、ドラムの一発録り感、靄がかったベースの音像(hofnerの音)。世代を考えるとスクリーマデリカ的なサイケデリアがあっても不思議じゃないけど、テーム・インパラは、あくまで60s感。当時の感触。ファッションとかはわりと世代相応な感じなんだけど。
テーム・インパラとビートルズ
テーム・インパラの音楽はビートルズ的な感触はあるけど、ケヴィン・パーカーはジャズマスターを使用するし、ぱきっとして、ざらつき乾いたサウンドは、ポストパンクやオルタナティブ・ロックを通過してきた世代のテクスチャーも感じられる。リッケンバッカーももちろん使ってる。
「エクスペクテーション」では顕著。
インストの「ジェレミーズ・ストーム」は、ビートルズがマイルスの「イン・ア・サイレント・ウェイ」を再解釈したようなサウンドで、ソニック・ユース、ジム・オルーク以降の音楽も通ってきている世代というのが感じられる。ポストパンク以降の音楽。
宅録オタクの匂いがぷんぷんしていて非常にワクワクする。
『インナースピーカー』からの1stシングル「ソリチュード・イズ・ブリス」の飄々としたサウンドとは対象的に忙しなく抗う人を描いたMV。ドラムのフィルやグルーヴ感がどことなくメランコリックでイギリス的で、なおかつケヴィンの浮遊感のあるヴォーカルが独特のサイケ感をもたらしている。
2.2ndアルバム:LONERISM
タイトル | LONERISM |
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リリース | 2012年10月5日 |
レーベル | Modular Recordings |
前作の60sサイケデリア色も残しながら、プログレ色が濃くなった2ndアルバム。本作はエフェクト感に現代味帯びた感触があり、前作以上にスケール感が増したアレンジ。プライマル・スクリームのサイケデリックな要素と重なるような、酩酊感もある。
テーム・インパラのサイケデリックヒッピー感
ヴォーカルの処理も含めてサウンドメイクが、前作からの文脈上にあるから60s感は健在だけど、UKロックの手触りとNYのアート・パンク、あっけらかんとしたLAの風も吹き込んでくるようなフラワーチャイルド感、オーストラリアという環境も影響するのか、独自のミックス感覚というのが本作からは濃く感じられます。
わかりやすいところだと、この「エレファント」のヘヴィなリフや、タイトなドラムパターン、など、前作とは共通するようでしないブラック・サバス的なダークネスが2ndアルバムには含まれている。
3.3rdアルバム:CURRENTS
タイトル | CURRENTS |
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リリース | 2015年7月17日 |
レーベル | Modular Recordings |
ディスコ的な80s感も含むメランコリックサイケデリア。音像がかなりクリアになった。ドリーミーなシンセ使いも現代的にアップデートされ、タイトルの通り、『現在の』音になっている。
デビューからこういう音使ってやることも出来た世代、60s感を大事にしてきたケヴィン・パーカーの1stと2ndにおける彼らしさというのが、3rdの本作でより明確に示されたように思う。過去への敬意として1stと2ndがあるのかな、実は文脈は同じなんだけど、サウンドメイクでここまで印象が変わるっていうことまでを含めて表現してると思う。かっこいいね。
3rdアルバムからの1stシングル「レット・イット・ハップン」。この曲のドラムや、ベースラインなど、前作からの文脈とも通じる世界観がある。アレンジで胡散臭いディスコ調に持っていってるところが今っぽく、ヌケ感がかっこいい。ヘヴィなギターリフも効いてる。
テーム・インパラのグラミーノミネート作品 – New Person, Same Old Mistakes
本作は2016年の第58回グラミー・ベスト・オルタナティブミュージック・アルバム賞にノミネートされた。いわゆる懐古的な作品ではないし、彼の感性がサイケデリックな文脈上にあるだけであって、『現在の』作品に仕上がってる。相変わらず全曲の作曲から全ての楽器をケヴィン・パーカーが演奏してる。
リアーナがテーム・インパラをカバー
リアーナが『Currents』から”New Person, Same Old Mistakes”を”Same Ol’ Mistakes”という形でカヴァーしてる。かっこいい。このカヴァーのプロデュースはケヴィン自身で引き受けている。重厚感が増しつつ、ミステリアスなムードをキープした気だるく鬱蒼としたアレンジがかっこいい。
4.4thアルバム:THE SLOW RUSH
タイトル | THE SLOW RUSH |
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リリース | 2020年2月14日 |
レーベル | Modular Recordings |
本作ももれなく、全曲の作曲、全楽器の演奏をケヴィン・パーカー一人で行ってる。『Currents』でビートルズ文脈の進行形『現在の』音を提示した。そして本作、『The Slow Rush』では、その傾向はより顕著になった。それでも、ドリーミーでメランコリックなサイケデリアはここにも根付いている。
60s感をあれほどまでに丁寧に描いた1st、始めからルーツの提示とリスペクトを明らかにしていたケヴィン・パーカー。アレンジとサウンドメイク、あらゆる音楽を通過してきたミレニアル世代の音楽がここに最新形として具現化されている。
テーム・インパラの進化と深化
テクノロジーの進化と音楽の発展は蜜月関係。ビートの強調は、必然的にボディミュージックとしての機能を果たし、ダンスクラシックスと化したクラブミュージックの文脈とポップ文脈を結びつける。
ヒップホップ畑からのコラボレーションオファーなど、ラブコールも多いケヴィン・パーカーだから、現在の音にいたるまでの経緯は想像に難しくないだけの経歴を積んできている。軸のぶれない頑固さで、テーム・インパラらしさというのは崩れていない。
AKAIサンプラーで作ったようなサンプリングビート感と、サイケシンセサウンドに紛れ込んでいる”Posthumous Forgiveness”などにある要素、初期ストーンズやビートルズの青く切ない肌触りは、随所に散りばめられている。
サイケデリック信仰の懐古的保身主義者ではない、ということがこのアルバムで明確になったのではないだろうか。依然としてフラワーチャイルド感も音から滲み出てるし、ドリーミーな世界観は健在だけど。
モアレ感が懐古的トレンドを汲んでいるKaraokeビデオ。
テーム・インパラの魅力
ヴァインズやジェットも実はオーストラリア出身。バンドの個性そのものが強いので、意外と出身国はフォーカスされていないかも。
オーストラリアの音楽シーンは、AC/DCを皮切りに多くの魅力的なアーティストを輩出してきた。
2010年代ハイエタス・カイヨーテや、今回紹介したテーム・インパラなど、最新のブラックミュージックとも別け隔てなくコラボレーション出来るグループが出現し、先人へのリスペクト、先見性、実験性があるグループが、オーストラリアにも多く存在しており、独自のカルチャーを形成しています。
今回紹介した作品をまとめておきます。
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