本記事では、歴代のグラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞受賞作品を解説します。
気楽にお楽しみください。
Enjoy.
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Music ∞♡ / Jazz / Punk / Rock / Funk / Electronic Music 1984年生まれ。東京在住。
プロフィール詳細
1.グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞(Grammy Award for Best Rap Performance)受賞作品を全部紹介します。
MEMO
「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」とは、1989年から新設されたグラミー賞の1部門です。
1989年、1990年の2回で一度廃止されます。
1991年からは細分化され、「ベスト・ラップ・ソロ・パフォーマンス賞」と、「ベスト・ラップ・デュオまたはグループ・パフォーマンス賞」に別れましたが、2012年に統合して「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」が復活。
この「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」は、「ジェイ・Z & カニエ・ウェスト」が過去に2度受賞しています。
ヒップホップ作品が受賞するグラミー賞といえます。
2010年代には「ケンドリック・ラマー」が過去最多の4回受賞という記録的な活躍で賑わしました。
そもそも、グラミー賞とは?
ザ・レコーディング・アカデミー (旧ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス)は、 ミュージャン、プロデューサー、レコーディング・エンジニア、その他音楽と音楽マーケットの質と文化的土壌の向上に寄与するレコーディング・プロフェッショナルらによるアメリカ合衆国の組織。1957年に発足した同協会は「グラミー賞」を主催することで知られる。
ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
そもそも、グラミー賞とは、アメリカの「ザ・レコーディング・アカデミー」という組織が運営する、「世界で最も影響力が強い」表彰制度です。
2.1989年:Parents Just Don’t Understand
記念すべき第1回目、1989年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「DJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス(DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince)」の、「ペアレンツ・ジャスト・ドント・アンダースタンド(Parents Just Don’t Understand)」です。
ちなみにフレッシュ・プリンスとは、後に「メン・イン・ブラック」などの映画で成功した、あの「ウィル・スミス」です。
まさに、フレッシュ。
>> DJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス:Parents Just Don’t Understand
3.1990年:Bust A Move
1990年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ヤングMC(Young MC)」の、「バスト・ア・ムーブ(Bust A Move)」です。
ヤングMCは一発屋的にシーンから姿を消しますが、2002年までコツコツ作品をリリースしていました。
変化の激しいミュージック・シーン。
>> ヤングMC:Bust A Move
4.2012年:Otis
2012 年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ジェイ・Z & カニエ・ウェスト(JAY Z & Kanye West)」の、「オーティス(Otis)」です。
デフ・ジャムからリリースされた「ジェイ・Z & カニエ・ウェスト」の、コラボレーションアルバム『ウォッチ・ザ・スローン』に収録されています。
『ウォッチ・ザ・スローン』のアルバム・アートワークを担当したのは、当時ジバンシィのアーティスティック・ディレクターで、現バーバリーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのリカルド・ティッシ。
>> ジェイ・Z & カニエ・ウェスト:Otis
5.2013年:Ni**as In Paris
2013年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ジェイ・Z & カニエ・ウェスト(JAY Z & Kanye West)」の、「ニ*ズ・イン・パリス(Ni**as In Paris)」です。
さきほどの『ウォッチ・ザ・スローン』からのシングルカット。
『ウォッチ・ザ・スローン』はグラミー・ベスト・ラップ・アルバム賞と、グラミー・ベスト・レコーディング・パッケージ賞にノミネートされていた。
2年連続で「ジェイ・Z & カニエ・ウェスト」が受賞しました。
>> ジェイ・Z & カニエ・ウェスト:Ni**as In Paris
6.2014年:Thrift Shop
2014年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「マックルモア & ライアン・ルイス(Macklemore & Ryan Lewis)」の、「スリフト・ショップ(Thrift Shop)」です。
マックルモアは同年のグラミーで、最優秀新人賞を含む4部門を受賞している。
>> マックルモア & ライアン・ルイス:Thrift Shop
7.2015年:i
2015年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)」の「アイ(i)」です。
TDEからリリースされたケンドリック・ラマーの、3rdアルバム『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』に収録されています。
アイズレー・ブラザーズの「ザット・レディ」使いがイカしてます。
>> ケンドリック・ラマー:i
8.2016年:Alright
2016年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)」の「オールライト(Alright)」。
さきほどの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』に収録されています。
この楽曲はファレル・ウィリアムスによるプロデュースです。
『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』はグラミー・ベスト・ラップ・アルバム賞を受賞。
更にはグラミー・アルバム・オブ・ザ・イヤー賞にノミネートされていた。
アーティスティックにシリアスな世界を描いたMVがかっこいい。
>> ケンドリック・ラマー:Alright
9.2017年:No Problem
2017年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「チャンス・ザ・ラッパー ft. リル・ウェイン & 2チェインズ(Chance the Rapper ft. Lil Wayne & 2 Chainz)」の、「ノー・プロブレム(No Problem)」です。
チャンス・ザ・ラッパーは同年の最優秀新人賞と、アルバム『カラーリング・ブック』が最優秀ラップ・アルバム賞を受賞しています。
配信リリースのみの作品が初めてグラミー賞の対象となり、既存のグラミー賞の規定を改定するキッカケとなった。
ルールを見直し、変えていくという、大きな一歩をチャンスは歩んでいる。
>> チャンス・ザ・ラッパー ft. リル・ウェイン & 2チェインズ:No Problem
10.2018年:Humble.
2018年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)」の「ハンブル(Humble.)」。
TDEからリリースされたケンドリック・ラマーの4thアルバム『ダム』に収録。
この曲は最優秀ラップ・パフォーマンス賞以外にも、最優秀ラップ・ソング賞、最優秀ミュージック・ビデオ賞も受賞している。
>> ケンドリック・ラマー:Humble.
11.2019年:King’s Dead / Bubblin
King’s Dead
2019年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、2作品ある。
1つは、「ケンドリック・ラマー、ジェイ・ロック、フューチャー、ジェームス・ブレイク(Kendrick Lamar, Jay Rock,Future & James Blake)」の「キングス・デッド(King’s Dead)」。
アベンジャーズ・シリーズの映画「ブラックパンサー」の、ライアン・クーグラー監督から依頼を受けたケンドリック・ラマーが、製作した『ブラックパンサー・ザ・アルバム』に収録されている。
>> ケンドリック・ラマー、ジェイ・ロック、フューチャー、ジェームス・ブレイク:King’s Dead
Bubblin
2019年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲の、もう1つの作品は、「アンダーソン・パーク(Anderson .Paak)」の「バブリン(Bubblin)」です。
2014年にアルバムデビュー、彼はかなり波乱の人生を歩んできている。
しかし、ドクター・ドレーに見いだされたことで、ドクター・ドレーの「コンプトン」の6曲に関わり、大フィーチャーされたことで一気にシーンからの注目を集めた。
記事の後半で、彼の作品をまとめて紹介していきます。
ちなみに、2019年のグラミー賞は、「黒人アーティストの作品が主要部門に選ばれないのはなぜ?」
とった問題が注目され、投票制度の改革が進んでいた。
なお、アンダーソン・パークの経歴やアルバム紹介は下記からどうぞ!
» 「Anderson .Paakとは?【結論:極上グルーヴ職人】」
そして、2019年にチャイルディッシュ・ガンビーノの「ディス・イズ・アメリカ」が、主要部門である「最優秀レコード賞」と「最優秀楽曲賞」の2部門を受賞するという快挙を成し遂げた年でもあった。
>> アンダーソン・パーク:Bubblin
12.2020年:Racks In The Middle
2020年「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞」受賞曲は、「ニプシー・ハッスル feat. ロビー・リッチ & ヒット・ボーイ(Nipsey Hussle feat. Roddy Ricch & Hit-Boy)」の、「ラックス・イン・ザ・ミドル(Racks In The Middle)」です。
ニプシー・ハッスルは1985年生まれのロサンゼルス出身のラッパーです。
2018年にアルバムデビューし、自ら経営するブティックを地元ロサンゼルスに開業し、流れを掴みこれからを期待されていた。
しかし、そのブティックの前で銃撃にあい、33歳の若さでこの世を去った。
ニプシー・ハッスルは、ラッパーとしての活動以外にも、起業家としてレーベル経営を行うかたわら、「近隣学校への資金提供」や、「コワーキングスペースの創設」、「銃社会と向き合うためのディスカッション」を行ったりと、地元社会の貧困問題に対し積極的な活動を行っていた「活動家」としても知られている。
>> ニプシー・ハッスル feat. ロビー・リッチ & ヒット・ボーイ:Racks In The Middle
13.まとめ
「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞受賞作品」は、2012年に復活して以来、現在のミュージック・シーンにおいて「非常に重要な作品」が、多い部門となっていると思います。
個々の多様性を尊重していく社会傾向が強くなっている昨今において、「グラミー最優秀ラップ・パフォーマンス賞受賞作品」は、「民衆に対して非常に強い扇動力」があります。
その「メッセージ」を少しでも受け取れたら、きっともっと楽しい社会になるのではないかな、なんて。
ヒップホップに縁がなかったあなたもこれを機に、ヒップホップやラップも楽しんでみては?
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