本記事は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ、Red Hot Chili Peppers)1990年代の名曲を解説します。
※目次もご活用くださいませ。
深みを増した極上のグルーヴ
1.90年代の5曲
Red Hot Chili Peppers(以下レッチリ)は90年代にアルバムを3枚リリースしています。
90年代以降、レッチリに「メロウ」な曲が増えていきます。
とはいえ、初期から積み上げてきたファンク・パンク・ラップの独自調合製法によるサイケデリックな曲も磨き上げられていきます。
下記は、「メロウ」かつ、「サイケデリック」で、独創的な名曲5曲になります。
- Give It Away
- Under the Bridge
- Aeroplane
- Around the World
- Scar Tissue
では、それぞれ見ていきましょう!
2.Give It Away

まず、1曲目は5thアルバムから、Give It Away。
Give It Awayは、レッチリが初めてグラミー賞を受賞した曲。名実ともに世界に認められるきっかけとなった曲なんです。
タイトル | 「ギヴ・イット・アウェイ」(Give It Away) |
収録アルバム | 『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』(Blood Sugar Sex Magik) |
作曲 | アンソニー・キーディス、フリー、ジョン・フルシアンテ、チャド・スミス |
演奏メンバー | アンソニー・キーディス(v)、フリー(b)、ジョン・フルシアンテ(g)、チャド・スミス(ds) |
プロデュース | リック・ルービン |
聴きどころ
Give It Awayの聴きどころは、コテコテでクドクド濃厚ファンクグルーヴにあります。
Give It Awayは、アクだらけのラップ、極太ベースライン、サイケデリックギター、極上ファンクグルーヴ、と、レッチリ4拍子揃った楽曲。
この4つのレッチリらしさがギュッと濃縮されたクドい楽曲なのです。
コテコテでクドクドなのに、あと引く、やめられない。家系グルーヴ。
一度は味見してみてほしい。
下記は、1992年の2月にフランスで収録した映像です。
一瞬演出なのかな?と思うほど、演出じゃあないです。機材トラブルぽいのですが、いやあ。
とにかくアンソニーの殺気立った雰囲気が、異様な空気感を醸し出してます。
ちなみに、ジョンはこの年の5月、来日公演中にほぼ失踪する形で脱退します。
下記は2006年のフジロック出演時のGive It Awayです。
かなりテンション高く完成度もめちゃ高い演奏。
バンドの一体感も文句なしです。
ジョンのソロもめちゃめちゃキマってます。
*おまけ*(アリク)
下記は、1992年10月28日のニュージーランド公演の映像です。
ジョンが失踪し、ザンダー・シュロスが加入、が4日で解雇。
その後に加入したのが、こちらアリク・マーシャルです。
アリク・マーシャルは、アフリカ系の父とイスラエル系の母をも持つLAのギタリスト。
アリク・マーシャルは、チャカ・カーン、ジョージ・クリントン、プロディジー、ビョーク、サウンドガーデンなど、幅広いアーティストのレコーディングに参加している実力派。
テクニカルなプレイもきっちりこなせるセッション系ギタリストです。
自伝でアンソニーは「アリク・マーシャルは飲み込みが早かった」と褒めてました。
3.Under the Bridge

つぎに、2曲目は5thアルバムから、Under the Bridge。
Under the Bridgeは、レッチリのメロウ代表。
知らない人がいたら教えてあげましょう。
一言「クールな曲があるんだけど、一緒に聴かない?」、コレでいきましょう。
マッチョでエネルギッシュな鋼鉄の鎧で覆われたレッチリのイメージ脱ぎ捨て、繊細で優しい側面をさらけ出した。
タイトル | 「アンダー・ザ・ブリッジ」(Under the Bridge) |
収録アルバム | 『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』(Blood Sugar Sex Magik) |
作曲 | アンソニー・キーディス、フリー、ジョン・フルシアンテ、チャド・スミス |
演奏メンバー | アンソニー・キーディス(v)、フリー(b)、ジョン・フルシアンテ(g)、チャド・スミス(ds) |
プロデュース | リック・ルービン |
聴きどころ
Under the Bridgeの聴きどころは、アンソニーの歌詞と、ジョンの優しいギターにあります。
このギターのフレーズは、一度聴いたら忘れられないでしょう。
こんなに歌詞とマッチしたフレーズを編みだすなんて。あんた。天才だな。
アンソニーが口ずさみ、そこにジョンがギターで伴奏を付けるという作業は、この頃のレッチリの制作手法の定番だったようです。
要はアンソニーも、あんた。天才ってこと。
下記は、ジョンの復帰後、99年のウッドストックに出演した際に演奏したUnder the Bridgeの映像です。
ちなみに、この年のウッドストックは酷暑の中開催されました。
酷暑にも関わらず、飲み物も、食べ物も一切持ち込みが禁じられ、さらには、会場内の飲食物はバカ高かったそうです。
この利益至上主義的な開催者に対して、一部の観客が暴徒と化し、略奪や放火に発展しました。
そのため、史上最悪のウッドストックと言われています。
3:50あたりの映像、これはキャンプファイヤーとかじゃあないのです。。
それにしても、フリー、神がかり的な開放感。
下記は、シカゴで開催されているロック・フェスティバルの『ロラパルーザ』へ2016年に出演した際の映像。
演奏中に手話で観客へメッセージを届ける通訳士の、その表情からも歌詞のエモーショナルな部分が非常によく伝わってきます。
泣きます。
*おまけ*(裏UTB)
下記は、正直あまりオススメできない時のUnder the Bridge。
なにしろ、ジョンが調子外れな演奏しかしない。
92年のジョン・フルシアンテは、ヒットしていくレッチリに絶望し気持ちがバンドからどんどん離れていっている時期。
この気持のないジョンの演奏に対し、アンソニーは相当腹を立てました。
アンソニーはもともと歌唱に不安があったので、生放送というプレッシャーもあり、ジョンの調子外れな演奏は、相当辛かったことでしょう。。
自伝にも記録がありますが、生放送でジョンに恥をかかされたとアンソニーは後に回想しています。
これはこれで、やりきれない思いにかられ。
泣きます。
4.Aeroplane

そして、3曲目は6thアルバムから、Aeroplane。
タイトル | 「エアロプレイン」(Aeroplane) |
収録アルバム | 『ワン・ホット・ミニット』(One Hot Minute) |
作曲 | アンソニー・キーディス、フリー、デイヴ・ナヴァロ、チャド・スミス |
演奏メンバー | アンソニー・キーディス(v)、フリー(b)、デイヴ・ナヴァロ(g)、チャド・スミス(ds) |
プロデュース | リック・ルービン |
聴きどころ
Aeroplaneの聴きどころは、フリーの極太ファンキーベースです。
Aeroplaneのベースライン、素敵だなあ。
Aeroplaneが収録されているOne Hot Minuteは、ギタリストのデイヴ・ナヴァロが加入して作られた唯一のアルバム。
ヘヴィな楽曲が魅力的なOne Hot Minuteの中でキラリと輝くAeroplaneは、メロウでクールでピースフルなレッチリらしいファンキーナンバー。
下記のように、デイヴ・ナヴァロ在籍時のレッチリは、みんなでお揃いの衣装だったりして、いい意味でしっかりとプロデュースされていました。
ちなみに、バックコーラス左側の女性は、フリーの親友でもあり、名優だった故リヴァー・フェニックスの妹で、女優のレイン・フェニックス。
レイン・フェニックスは、レッチリのツアーにバックコーラスとして同行していました。
下記のように、デイヴ・ナヴァロ以外がAeroplaneを演奏するのはレアです。
というのも、ジョン・フルシアンテ時代は、One Hot Minuteの曲を演奏しなかったためです。
Aeroplaneはベースソロも、ギターソロもあってライブ映えしますね。
*おまけ*(デイヴ)
下記は、6thアルバム製作を共にしたデイヴ・ナヴァロのOne Hot Minuteギターレクチャー動画です。
バンド演奏シーンも交えた内容で、日本語字幕付きになっています。
優しそうなデイヴ。
デイヴ・ナヴァロは、謙虚な姿勢でレッチリの世界観に敬意をはらいながらも独自のエッセンスを作品に注ぎ、名盤アルバム完成に貢献しています。
5.Around the World

さらに、4曲目は7thアルバムからAround the World。
Around the Worldは、「破壊的な侘び寂び」を「熟練グルーヴ」で構築したいわば、レッチリが積み上げてきた旨味を凝縮させた1曲。
タイトル | 「アラウンド・ザ・ワールド」(Around the World) |
収録アルバム | 『カリフォルニケイション』(Californication) |
作曲 | アンソニー・キーディス、フリー、ジョン・フルシアンテ、チャド・スミス |
演奏メンバー | アンソニー・キーディス(v)、フリー(b)、ジョン・フルシアンテ(g)、チャド・スミス(ds) |
プロデュース | リック・ルービン |
聴きどころ
Around the Worldの聴きどころは、ファンキーでありながら、哀愁漂うサビの展開にあります。
下記は、『クリス・ロック・ショウ』に出演した際の演奏です。
アンソニーのヤカン顔負けミックスボイスがやばい。
アンソニー、やたらキレがある。さては。。いや、きっとクリーンでしょう。
下記は『The Getaway Tour』の2017年5月19日オハイオ公演の映像。
3分超えのイントロ、キレキレのジョシュ。
アンソニーかっこいいタイツ履いてるね。
若干アンソニー苦しそうに見えるのは気のせいかな。
*おまけ*(ノリノリ)
チーム・レッチリに入団してノリまくりだった1990年のジョン・フルシアンテ。
ジョン、楽しそう笑。
6.Scar Tissue

最後に、5曲目は7thアルバムから、Scar Tissue。
Scar Tissueは、レッチリのメロウソングの中でも、特上品。
ゆえに、Scar Tissueは、グラミー賞の最優秀ロック・ソング賞を受賞しています。
タイトル | 「スカー・ティッシュ」(Scar Tissue) |
収録アルバム | 『カリフォルニケイション』(Californication) |
作曲 | アンソニー・キーディス、フリー、ジョン・フルシアンテ、チャド・スミス |
演奏メンバー | アンソニー・キーディス(v)、フリー(b)、ジョン・フルシアンテ(g)、チャド・スミス(ds) |
プロデュース | リック・ルービン |
聴きどころ
Scar Tissueの聴きどころは、レイドバックしたギター&ベース。
傷も癒えるってもんです。
カリフォルニアの晴れた青空と、乾いた空気を音にしたような、清々しさ。
このメロウな世界観、最高。
MVのようにバカでかいコンバーチブルで、まっすぐ走っていきたくなる。
下記は、1999年の『Billboard Music Awards』の授賞式。
4:34あたりからスヌープ・ドッグとコラボしています。
下記は、2016年の『The Getaway World Tour』中に参加した『New Orleans Jazz & Heritage Festival』でのパフォーマンスです。
左足ロング、右足ショートのアンソニー。別日、フリーは左足ショート、右足ロングでした。
*おまけ*(電球と炎柱)
最後に、94年のお揃い衣装シリーズを続けて2本ご紹介します。
お揃いでこんな衣装揃えられるのはレッチリぐらいでしょう。
1つ目は、電球頭『Light Bulb Head』衣装で登場した、94年ウッドストック出演時の映像。
レッチリがやると、こういうのも、もはやかっこいい。
こういう謎衣装ですら格好いい。
続いて2つ目は、同年94年に『Reading Festival』へ出演した際の、炎のヘルメット『Fire Helmets』衣装です。
電球も、炎も94年のデイヴ・ナヴァロ在籍時でのパフォーマンス。
絶対熱いでしょこれ。
ちなみに、火力を手元で調整できるようになってるそうです。
それにしても、危なすぎる。
7.まさに波乱万丈
レッチリの90年代は、ジョンとの別れと再会がバンドを揺るがしました。
ジョン・フルシアンテがもたらした影響はメンバーにとっても、ファンにとっても、計り知れないほど大きなもの。
80年代に確実にビッグになっていったレッチリを、一流のロックバンドとして決定づけた作品が1991年の5thアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』です。
この5thアルバムが世界中でヒットし、有名になっていくバンドに絶望したジョン・フルシアンテ。
いやあ、帰ってこれてよかった。泣ける。
90年代にレッチリは名曲を量産しています。
是非この機会に各アルバムも聴いてみてくださいね。
※下記は「アンソニーの半生=レッチリの歴史」がぎゅっと詰まったアンソニー・キーディス自伝。各メンバーの「出会い」「別れ」「制作の裏側」など、興味深い逸話のオンパレード。めっちゃ面白い。未読の方はぜひ。
今日は以上です。
skでした。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
記事が参考になりましたら幸いです。
※深みを増した極上のグルーヴ
※下記もあわせてどうぞ。
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レッチリ年代別代表曲
今回は90年代特集でしたが、80年代、00年代、10年代とそれぞれ「レッチリの代表曲とは?【年代別で整理】」にまとめてありますので、下記からどうぞ!
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