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本記事では、Red Hot Chili Peppersのジョン・フルシアンテの9th〜11thアルバムを語ります。
※ギター・マガジン最新号
ジョン・フルシアンテの新定番ペダル
ジョン・フルシアンテは新作Unlimited Loveのレコーディングで、MXRから提供された多くのペダルエフェクターを新たに採用しています。
中でもファズ「M236」、ディストーション「M78」、リバーブ「M300」はUnlimited Loveの各楽曲のサウンドメイクに大きな影響をもたらす重要なエフェクターとして「新たなレッチリサウンドを表現するジョン・フルシアンテの新定番ペダル」となること間違いなしですので、今のうちにチェックしておきましょう!
・ファズ
・ディストーション
・オーバードライブ
・リバーブ
※詳しくは下記の記事もどうぞ!
※ジョン・フルシアンテ最新情報
ジョンのアンプ、2/8/2020のアンドリュー・バークル追悼ライブの時はシルバージュビリー1台。今回はTV ShowもFonda TheatreもMajorが向かって右、JMP2203(Mid70s)と思われるアンプが左に。足元には引き続きSD-1と思われる黄色ペダルもあり。 pic.twitter.com/qvJNyvfR5t
— sk (@sk1984com) April 3, 2022
※目次もご活用くださいませ。
深みを増した極上のグルーヴ
1.各作品クレジット
Letur – Lefr
4th EP | Letur – Lefr |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2010年 |
リリース | 2012年7月4日 |
レーベル | Record Collection |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
PBX Funicular Intaglio Zone
9thアルバム | PBX Funicular Intaglio Zone |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2011年 |
リリース | 2012年9月12日 |
レーベル | Record Collection |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
Outsides
5th EP | Outsides |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2012年〜2013年 |
リリース | 2013年8月27日 |
レーベル | Record Collection |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
Enclosure
10thアルバム | Enclosure |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2012年〜2013年 |
リリース | 2014年4月8日 |
レーベル | Record Collection |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
Renoise Tracks 2009 – 2011
配信限定 | Renoise Tracks 2009 – 2011 |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2009年〜2011年 |
リリース | 2015年11月24日 |
レーベル | 自主リリース |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
4-Tracks Guitar Music
6th EP(配信のみ) | 4-Tracks Guitar Music |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2010年5月 |
リリース | 2015年11月24日 |
レーベル | 自主リリース |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
Foregrow
7th EP | Foregrow |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2009年 |
リリース | 2016年4月16日 |
レーベル | Acid Test |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
Maya
11thアルバム | Maya |
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アーティスト | ジョン・フルシアンテ |
制作時期 | 2018年 |
リリース | 2020年10月23日 |
レーベル | Timesig |
パーソネル | ジョン・フルシアンテ |
2.4th EP: Letur – Lefr
新たな表現手段
本作は、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)を円満に脱退(2009年7月29日)したジョン・フルシアンテが、2010年に制作した作品です。
ジョンは、本作で新境地を切り開きます。
ジョンは本作を、プログレッシブ・シンセ・ポップと表現していますが、単なるプログレッシブ・ロックとシンセ・ポップのミックスではありません。
あくまで、ジョン独自の表現スタイルを、プログレッシブ・シンセ・ポップと呼んでいるようです。
また、本作以降、ジョン・フルシアンテはビートを追求していくようになります。
ただし、そのビートは、過去作のドラムマシーンが奏でるシーケンスとは異なります。
本作のビートは、ブレイクビーツ、ドラムンベース、ジャングルからインスピレーションを得ており、複雑にエディットされているので、デジタルビートでありながら有機的。
本作のビートは、R&Bやヒップホップのように、楽曲の最前面に押し出されており、ジョンのギターや、ボーカルを取り扱う理念も、過去作とは異なります。
デジタル・レコーディング
本作でジョン・フルシアンテは、コンピューターを使用したデジタル・マルチトラック・レコーディングを導入しています。
ジョンは、これまで、全てアナログ・レコーディングで行ってきました。
初期のソロ制作は8トラック、16トラックを使用、『ジ・エンピリアン』では48トラックのアナログ・レコーダーを2台使用しており、一貫してアナログ・レコーディングを行ってきました。
デジタル・レコーディングにした理由の一つは、セルフ・エンジニアリングよるレコーディングを学ぶため。
また、慣れ親しんだロックの制作手法から自分を開放するためでもあるとのこと。
アシッド・ハウス
本作は、ジョン・フルシアンテが以前から「お気に入り」としてきた、エイフェックス・ツインやスクエアプッシャー、アーロン・ファンク(ヴェネチアン・スネアズ)などの、エレクトロニック・ミュージック・アーティストの影響が顕著な作風に仕上がっています。
本作は緻密なプログラミングが土台となっているため、以前にも増して1音1音に対するこだわりが鮮明になっています。
実は、ジョンはレッチリ在籍時の2007年からアシッド・ハウスで使用される機材でのプログラミングを学び始めています。
ラッパー
本作には、ウータン・クランのRZA、Kinetic9、ラグド・モンク(ブラック・ナイツ)など、ヒップホップMCがゲスト参加しています。
そのため、「過去の癖」を捨て、独自の世界観を築いた世界観が明確になっています。
ちなみに、ニコル・ターリー(USオルタナバンド、スワヒリ・ブロンドのヴォーカルであり、ジョン・フルシアンテの当時の妻)も制作に関わっていたりします。
3.9thアルバム: PBX Funicular Intaglio Zone
プログレッシブ・シンセ・ポップ
本作は、前作のEPリリースから2ヶ月後にリリースされたジョン・フルシアンテの9枚目のソロ・フルアルバム。
制作時期は『レター・レファー』の1年後、2011年です。
本作では、『レター・レファー』で披露したブレイクビーツなどのサイケデリック・ヒップホップや、コーンウォール・サウンドを彷彿とさせるドラムンベースなどのエディットサウンドが、さらにディープになっています。
さらに本作の「呪術的なシンセシーケンス」や「細やかなトラックメイク」などからは、前作以上の集中力が感じられます。
プログレッシブ・シンセ・ポップはますます研ぎ澄まされている。
ジョンらしいメロディも健在
本作は、刺激的なシンセサウンドが全面的にあしらわれています。
でも一方で、「Bike」や「Ratiug」などに、ジョンらしいメロディラインは健在している。
根本には「ジョンらしいメロディ」に支えられており、「過去の癖」はまだそこかしこに健在しているように思います。
本作も、エレクトロニック・ミュージックではあるけど、血が通ったように温かい。
癖
ジョンは、2007年からアシッドハウスで使用される機材のプログラミングスキルを身に着け、アシッドハウスという領域の中で自分らしさを追求していたプロセスがあり、その過程の中で、コンピューターが「単なる録音機材」ではなく「メインの演奏楽器」へと取って代わり、表現の自由度が高まり、音楽的表現方法を肉体的ではなく、理論的な方向へとシフトしていった。
そういった取り組みの中で、ジョンが重要視したのは、慣れ親しんだロックのメソッドに基づいた作曲を避けるということだった。
コンピューターを軸とし、かつ、ロジカルに作曲した楽曲に、ボーカルを載せていくことは出来ないか?と模索していく。
模索する過程で、R&BやヒップホップのMCなどのアプローチであれば、コンピューターベースのサウンドを支えられると気づいたそうです。
たしかに、R&Bやヒップホップは、デジタルビートが最前面にありながらも、「人の声」が楽曲の肝になってますね。
そのため本作は、ボーカルやギターを「コンピューターが支える」のではなく、コンピューター制作を「ボーカルやギターが支える」という構造になるように、試行錯誤した結果なんですね。
4.5th EP: Outsides
ロックのクリシェを捨て去った
まずは、「ロックのクリシェを捨て去った、新たなギター奏法」これが本作の重要ポイント。
ジョンはこれまで、良質なロックソングを量産してきました。
ところが、それらは、自分自身が築き上げたクリシェ、つまりは常套句とかした「手癖」による音楽だと感じるようになります。
『レター・レファー』から取り組んでいる、それらクリシェを一切捨て去り、あくまでデジタル機材とロジカルな思考により音楽を生み出す、というプロセスは徐々に醸成されていく。
そのため、ジョンは今までの感覚的に演奏するギターとは異なり、脳で考えロジカルに導かれたメロディを、デジタル機材をプログラムするのと同じようにギターを操ることができるようになりました。
コルトレーン、ベートーヴェン
つぎに、「コルトレーンやベートーヴェンに対するモダンアプローチ」これも重要ポイント。
「50年代〜60年代のフリージャズ」や、「20世紀のクラシック音楽」に対するモダンなアプローチが、この作品を形成しています。
ジョンは、「エレクトロニック・ミュージックにおけるメロディの在り方」を模索しているプロセスで、ビートが主体である「エレクトロニック・ミュージックにおけるメロディの在り方」は、「ポップ・ミュージック(ロック)におけるメロディの在り方」とでは、全く違うことに気づきます。
ポップ・ミュージック(ロック)は、「ボーカルメロディがフォーカスされる」のに対し、メロディを主体としないエレクトロニック・ミュージックでは、ドラムビートが主体となり全ての要素が絡み合うことで全体像を作り出している。
それはつまり、「フリージャズが織りなすカオス的」な表現や、「ベートーヴェンが書いた全ての要素が渾然一体となったサウンドメイキング」に通じると、ヒントを見出しました。
エモーショナル
最後に、「デジタルのエモーショナルなカオス」これも重要ポイント。
複数の機材がデジタルで同期し、それらを支える一要素としてギターを取り入れていく手法を用いることで、デジタルであるにも関わらず、極めて有機的なサウンドになってる。
クール。
5.10thアルバム: Enclosure
非伝統的なプロデュースで伝統的な作曲方法を導く
まずは、「非伝統的なプロデュースで伝統的な作曲方法を導く」ことが本作の重要ポイント。
レター・レファーとPBXファニキュラー・インタグリオ・ゾーンの2作で、ジョンは「手癖」から開放されるべく、ロジカルな表現方法を模索した。
そして、前作『アウトサイズ』でジョンは、複数のデジタル機材を同期するのと同じように、プログラムするようにギターのメロディを全体の一要素として表現することに目覚める。
そして本作は、されら3作品から学んだ手法を統括する、実験結果をまとめた作品。
「非伝統的なプロデュースで伝統的な作曲方法を導く」、それはつまり、ロック黄金期の伝統的なソングライティングを(要は以前までのジョンらしいソングライティング)、30年間の音楽活動で培ったプロデュース力で、新しい領域に導いていくという実験。
多彩なリズムパターン
つぎに、「多彩なリズムパターンと絡むシンプルなボーカル」これもポイント。
ブレイクビーツ、ドラムンベース、ビートを自由自在に操れるようになったジョン。
インダストリアルな硬質なサウンド、柔らかいシンセ音、あらゆる要素を自在に、シームレスに紡いでいく。
ジョンはトラックメーカーであり、ソングライターであり、サイケデリックなプロデューサー。
ブラック・サバスのような空間表現を、強烈なデジタルビートが絡み構成されていく唯一無二の美しさ。
「スリープ(Sleep)」では、正にシンセ・ポップとでもいうような、メロディアスなソングライティング。
エンクロージャーには、ジミヘンやレッチリが大好きだった少年のジョンが存在していて、素晴らしいメロディーやギターソロを楽しめる極めて丁寧で緻密なコンセプト作品でもある。
「ステージ(Stage)」でのギターソロや、「ファンファーレ(Fanfare)」とかは、ロック界においてジョンの影響がいかに大きかったかってことを感じずにはいられない。
ここ5年の集大成的作品とジョン自らも語る通り、ビートとメロディへの執着が結実した傑作。
軌道間ロケットでプロモ
最後に、「プロモーションも鬼才ぶりを容赦なく発揮するジョン」これもポイント。
このアルバムを無料配信するためだけに打ち上げられた『エンクロージャー(囲い)』を積んだ人工衛星。
この人工衛星は、このアルバムを無料配信するためだけに軌道間ロケット・ネプチューンに乗せて発射されました。
突き抜けた発想に感動。
6.配信限定アルバム: Renoise Tracks 2009 – 2011
7.6th EP(配信限定): 4-Tracks Guitar Music
8.7th EP: Foregrow
9.11thアルバム: Maya
トリックフィンガーに通ずる
まずは、「本作は別名義のトリックフィンガーに通じている」ことが本作の重要ポイントです。
本作は、ジョンが15年間を共にした愛猫『マヤ』へ捧げられている。
ジョンの創作活動を15年間見守ってくれていた『マヤ』のために作った作品だから「ジョン・フルシアンテ名義」でリリースされている。
※下記の「Trickfinger作品総まとめ!【時系列で見やすく整理】」もあわせてどうぞ。
※下記の「【Trickfinger編】ジョン・フルシアンテ使用機材まとめ!Roland TR-909, 808, 303など!」もあわせてどうぞ。
Timesig
つぎに、「Timesigからのリリース」ことが本作の重要ポイントです。
本作の作風はリリース元がTimesigであることが物語るように、ブレイクコアや、ドラムンベースを基調とした作品で、ジョンの別名義である、トリックフィンガーの作風に通じている。
Timesigは、ブレイクコア界のカリスマでヴェネチアン・スネアズこと、アーロン・ファンクがPlanet Mu内に立ち上げたレーベル。
下記画像の右側がアーロン・ファンク。
ヴェネチアン・スネアズは巨匠ダニエル・ラノワとのコラボレーションでも話題になった。↓これです
完全なるプログラミング
最後に、「完全なるプログラミングで構成されている」ことが本作の重要ポイントです。
ジョンは、アーロン・ファンクとの作業を経てプログラミングにおけるスキルを上達させ、コンピューター制御での音楽制作を、満足のいく作業スピードを手に入れた。
本作は、通常ならトリックフィンガー名義でリリースしているような楽曲で構成されているため、『PBX』や、『エンクロージャー』ぐらいまでの世界観とは大きく異なります。
とはいえ、「Brand E」のアグレッシブな、生ドラムを思わせるエモーショナルなリズムパターンは、ジョンらしくフィジカルに訴えるビートなのでシンプルに心地よく、ブレイクコアや、IDMの入門作品として最適なんじゃないでしょうか。
スクエアプッシャーを彷彿とさせる、ブレイクコアや、IDM、ジャングルなどにみられるアブストラクトで、難解な側面も伺えますが、ジョンらしい、情感溢れる美しいハーモニーが、楽曲を彩っているのでかなり気持ちよく入り込むことが出来ます。
10.天才の地道なあゆみ
2009年以降、ジョン・フルシアンテは、以前までのアナログ中心の制作からデジタル中心の制作に移行しました。
この変化は、単にレコーディング・ツールを変えるのが目的ではなく、音楽性を追求していく過程で機材の互換性や可能性を突き詰めた結果。
11thアルバムのMayaに至るまでに、多くの実験を繰り返したジョン。
ジョンの「音楽に対する探求精神」を心からリスペクトしています。
ジョン・フルシアンテは努力家、多作、だから、天才。
今日は以上です。
skでした。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
記事が参考になりましたら幸いです。
※深みを増した極上のグルーヴ
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